麹(糀)とは?
麹とは、米、麦、大豆などの穀物に「麹菌」を付着させ、繁殖しやすい温度、湿度などの条件下でコウジカビを繁殖させたものです。
同じ読み方で「糀(こうじ)」がありますが、糀は蒸し米に麹菌をまぜて発酵させ作ったものです。角田製菓の酒まんじゅうは蒸し米に麹菌を混ぜた糀を使っています。
コウジカビはデンプンやタンパク質などを分解する様々な酵素(消化酵素とも呼ばれています)を生産・放出しています。このコウジカビの分解酵素を利用して日本酒、味噌、食酢、漬物、醤油、焼酎、泡盛などの発酵食品が造られいるのです。
またコウジカビに含まれる酵素には、人の身体に栄養素を吸収させる効果もあり、麹と一緒にお肉や野菜を食べることで効率よく栄養素を摂取することができます。
この麹の分解酵素を利用した製法は日本だけでなく、東南アジアを含めた東アジア圏特有の発酵技術となっています。
麹に毒性はない?
「カビ」と聞くと毒や有害な印象を抱く方もいるかもしれません。
アフラトキシンと呼ばれる有毒な物質の生成が疑われましたが、海外でもコウジカビの毒性について多くの研究機関によって調べられ、日本で使われる麹菌にはアフラトキシンを生成する能力が失われていることが分かっています。
それどころかむしろ体に必要な栄養素が豊富に含まれていると近年の研究で明らかになっています。
麹の歴史
日本食に欠かせない醤油や味噌、みりん、お酒といった調味料は、麹(糀)が発酵すること(コウジカビが繁殖すること)で出来上がるものですが、実は麹は紀元前から使われていたとされ、古くから人々の生活と深い結びつきがあったと考えられています。
日本で麹が初めて史書に出てくるのは8世紀の初め、ちょうど奈良時代(西暦710年~西暦794年)になります。
「播磨国風土記(はりまのくにふどき)」という奈良時代(西暦710年~西暦794年)初期に書物にまとめられた風土記に「乾飯(かれいい)がぬれてカビが生えており、これで酒を造った」という記述があります。
※乾飯…炊いた飯を干した、旅行・行軍などに持っていく携帯用の食料
この乾飯がぬれて生えたカビこそ、麹です。
この乾飯にカビが生えたものを使って作られたお酒が日本初の麹を使った製品というのが有力な説になっています。
室町時代(西暦1336年~西暦1573年)になると、コウジカビの胞子だけを集めて使いやすくした粉末状の「種麹(たねこうじ」が開発されて販売が開始されています。
※種麹…味噌、醤油、清酒、焼酎、みりんなど醸造食品の製造に用いる麹を製造する際に、麹菌を供給する目的で蒸米などに加えるもの
江戸時代(1603年~1868年)になってくると一般の人も麹の恩恵を受けるようになってきます。そのもっともたるものが飲む点滴とも言われる「甘酒」で、ブドウ糖やビタミンB1、麹菌が豊富に含まれる甘酒は高い疲労回復が効果があるとされ、夏バテ防止に飲まれていました。
明治時代(1868年~1912年)に入ると麹が一般的に販売され始めます。
2006年には日本醸造学会が麹菌を「国菌(こっきん)」に認定され、現在発酵食品は多くの日本人に親しまれています。
麹の効果・効能
①腸内環境の改善で疲労回復効果
麹には多くの酵素が含まれており、食物の栄養を人の体に消化吸収する手助けをしてくれるため、疲労回復にも良いとされています。
また麹の酵素によって生み出される「オリゴ糖」は腸内環境を良くしてくれます。腸内の善玉菌の繁殖のためにも、麹は大いに活躍しています。
②ダイエットや美容効果でキレイに
麹は、美容に大きな効果のあるビタミンB1、B2、B6、ナイアシン、パントテン酸など多種多様のビタミンを生成します。これらビタミン類は、肌の代謝を促進してくれます。
ビタミンB群には、併せて脂肪燃焼効果も期待されるためダイエット効果にも期待できます。また麹に含まれるコウジ酸は、シミの原因となるメラニン生成を抑え、シミやくすみを予防してくれる効果があります。
③抗酸化作用で老化予防
麹には30種類以上の酵素が含まれており天然の抗生物質と言われています。免疫力の向上のほか、病気になりにくい身体を作り上げ、老化の予防にもなります。